「ゆすの木」は「イスノキ」。「椅子の木」じゃないよ。

ああ、これは「ゆすの木」だよ。

少しばかり認知の入ったお婆さんと仲睦まじく暮らす柔和なお爺さんは、そう言った。

お爺さんは、最近、ご夫婦で配食サービスの利用を始められた方。

「ゆすの木」は敷地に入ってすぐのところにある大きな木。

15メートルぐらいはあるだろうか。

前々から配達に行く度に何の木なのか気になっていたが、聞きそびれていて、きょう、やっとその名前を聞くことが出来た。

へぇ、ゆすの木ですか…

初めて聞きました、勉強になりました。

そう言って、私は配達車に戻り早速「ゆすの木」でググってみる。

しかし、検索にヒットするのはその名を冠する宿泊施設の情報ばかり。

なので「ユスノキ」とカタカナで検索しみた。

するとWikipediaの「イスノキ」の項目が第一候補としてヒット。

その概要欄で「ゆすの木」は「イスノキ」の別名であることがすぐに分かった。

他にも「ユシノキ」「ヒョンノキ」との別名があることも。

「イスノキ」か…

それだったら聞いたことがある。

しかし、私が知ってるのは生垣としての「イスノキ」。

高さはせいぜい1.5メートルぐらい。

15メートルの「イスノキ」をそれを「イスノキ」と意識して見たことはなかった。

最大は約20メートルぐらいになるとのこと。

これといって特徴のある木ではないが、葉に虫こぶが出来ることが多く、それで特定できるとの情報も。

そういえば、小学生のころ通学路に面する家々には、こぶのある葉をつけた生垣がたくさんあったな。

4月には赤い小花をつけるらしい。

お爺さんのところのイスノキもすでに花を咲かせてるのかもしれない。

しかし、もともと目だたない花なので、高木となってしまったイスノキに咲く花を地上から確認できるかどうか。

木材としては堅い木で家具などの材料として利用されるとのこと。

だから「椅子の木(イスノキ)」なのか?と思ったが、そうではなくて、イスノキの「イス」は転訛した読みらしい。

ある説では遡るとイス→ユス→ユシ→ユツとなり「ユツ」は「神聖な木で作ったくし(爪櫛)」を意味する。

そういえば、これは「ゆすの木」だよと教えてくれたお爺さんが、この木に神様が宿ってくれたらいいんだがのぉ、と言っていた。

あれはそんな「ゆすの木」の由来も知っての言葉だったのだろうか?

クリスチャンなので木に神が宿るという思想に同意は出来ないが、私たちの信じる神は天にも地にも満ちる方。

仲睦まじいお爺さんとお婆さんの上に神の祝福がありますように。

心の中で祈りつつ、私は車のエンジンを始動した。

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